
自社の価値は、一体いくらなのだろうか?会社の価値はどのように決まるのだろうか?
M&Aや事業承継という話題が活発になっている今日、会社の価値がどのように決まるのかという点は、関心の高いテーマの一つだと思われます。
そこで今回は会社価値の算定について、その考え方とどのようにすれば会社価値が高くなるのかについて書いていきます。
会社価値は、現状の実体価値と将来価値で決まる!
はじめに会社価値は、どのように決まるのか?という点ですが、この解答は、①現状の実体価値と②将来価値の2つの観点から決まるということとなります。
①の現状の実体価値が、総資産となり、資産から負債を引いて残る純資産が株主の価値となります。
次に、②将来価値です。会社は事業を行う上で資産や人材・システム・知的財産などの経営資源を有しています、これらの資産や経営資源で得られる将来の利益が、将来価値に該当します。
会社価値=現在の実体価値+将来価値=総資産+将来の利益
①現在の実体価値に関しては、そんなに疑問点はないと思います。但し会社の帳簿には、取得した時点での金額(簿価)が記録されていることが多いため、現在に改めて取得した場合いくらとなるかを、再評価する時価調整が必要な場合があります。
②将来価値は、現在有する資産・経営資源から得られる期待利益から資産取得に要した資金提供者にかかる費用を控除した正味に残る利益の総和となります。
その将来に得られる正味利益を算出して現在の価値に割引いた金額が将来価値ということとなります。
M&A、事業譲渡で高値売却をする方法!
続いてM&Aや事業承継において高値で会社を売却する上では、どのようにすればよいかという点について考察していきます。
会社の価値は将来価値に大きく依存する!
会社の価値が、現在の実態と将来の正味利益で決まるのであれば、現在の実体価値にはそんなに異論を挟む余地がないため、会社価値は、将来の正味利益に大きく依存するということとなります。
ここが実際のM&Aや事業承継においても争点となります。
赤字の会社でも希少な経営資源を有していれば、そこから得られる将来の正味利益には高い価値が生まれて高値売却の余地が生じることとなります。
また現状は高い利益が計上されていても、将来の正味利益があまり期待されない場合は高値売却が実現されないという訳です。
では、将来の正味利益とは何でしょうか?
これは素直に、利益がどれぐらい稼ぎ続けられるかということとなるのですが、見落としがちなのが、その利益を稼ぐのに必要とした資本(資金)にかかる費用=資本コストを差し引く必要があるという点です。
黒字でも将来価値に高値がつかないケースや上場企業でも株価純資産倍率が1倍を切っているケースには、この資本にかかる費用を上回る利益が獲得できていないケースが理由の一つとなっていると思われます。
しかし、実際の将来の正味利益は、得られる期待利益から資本にかかる費用を差し引いた利益を用いる必要があります。この概念が「超過収益=残余利益」となります。
したがって、将来価値を高めるには、得られるであろう期待利益から、資本にかかる費用を控除した「超過収益=残余利益」をより多く獲得する必要があるということとなります。
残余利益=当期純利益−総資産×資本コスト
結論、上記算式の残余利益を最大化して、継続的に得られるようになることが会社価値を高めるということとなります。
会社価値=総資産+残余利益の現在価値の総和
また、この利益は将来に得られるものとなるため、さらに、それを現在の価値に割引く必要は生じます。その割引率には、資本コストが再度用いられます。
資本コストは、銀行等に支払う利息と株主の期待利回りの加重平均値が使われます。
支払利息は実際の利息の支払額÷期中の平均借入額×(1−実効税率)で算出され、株主の期待利回りは、上場している日本株の場合で8%と言われていますので、株式の流動性の低い中小・ベンチャー企業の場合、10%を目安とすれば十分だと思います。
本記事のまとめ
以上、会社価値算定の考え方は、現在の実体価値と将来の価値の合計であること、会社価値を高めるには、将来の期待利益から資本コストを控除した「超過収益=残余利益」を向上させ、将来価値を最大化する必要があることについて書きました。
事業承継やバイアウトを検討する上では、会社価値の算定が必須となります。
但しその考え方を理解して企業価値を高めるべく経営を実行するのとしないのとでは、自社の会社価値は大きく異なります。即ち、売却価額に大きく影響するということです。
インカムアプローチ・コストアプローチ・マーケットアプローチや配当割引モデル、DCF法、EV/EBITDA倍率法等、様々な企業価値算定方法がありますが、大枠の考え方は同じです。
まずは企業価値算定方法の習得の前に、企業価値算定の考え方をご理解いただけたら幸いです。
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